オリジナルエギングロッドを自作 マグナムクラフト RZ8429

エギングロッドに必要なのは、アジングロッドのように感度だけではなく、
しゃくり易さ丈夫さデザイン
と考えているので、手間をかけてロッドビルディングをしたからといって簡単にメーカーより良いものができると思えない。

やはり、メーカー製エギングロッドはエギング専用の振りやすいブランクを使っているし、作りも非常に頑丈で値段も安い。

先にあげた3項目のうちロッドビルディングの方が明らかに良いのは、作りの良さと自分好みのデザインになることだけだろう。
マグナムクラフト エギングロッド
本当に良いエギングロッドを作るなら、気に入ったエギングロッドをリビルドするのが1番手っ取り早そう。

エギングロッドはメーカー製でも良いとは考えているものの、試してみたいこともあったので取り敢えずエギングロッドを作ってみました。(未使用)

何かの参考になることがあれば幸いと、少し書き込んでみます。



マグナムクラフトRZ8429


マグナムクラフトのブランクでエギングロッドに使われるのは、サクラマス8325ランカースペシャル8626が人気。

深場で3.5号のエギをキビキビと動かしたかったのでRS8626やRS8326と迷いつつも高弾性カーボン使用のRZ8429をチョイス。

RZはマグナムクラフトの中でも比較的新しい2ピースのシリーズで、8フィート9インチのRZ8929と8フィート4インチのRZ8429がラインナップされていて、いずれも40トンと46トンカーボンのコンポジットになっています。

重量は約55グラムで価格は16,800円、大手メーカーの初心者用エギングロッドが余裕で買えるお値段。
まずはブランクの各部寸法から測っていきます。

エギングロッドのティップ径

RZ8429のティップ直径はスペックでは1.4ミリで、チューブラーの市販エギングロッドと同じくらい。
8429 ティップ径
実測値も概ね1.4ミリ。
KGのトップガイドも1.5ミリ内径のものがピッタリでした。

ブランクの継ぎ

印籠継ぎではなく逆並継ぎなので、一見してバット側の先のほうがティップ側よりも細くなっています。
8429 継ぎ目太さ
ティップ側の継ぎ目の端は7.5ミリメートル。
ティップ径といい、寸法だけ見るとチタンティップアジングロッドを作るのにも良さそうなロッドテーパーに感じます。
フェルール太さ
バット側の先端直径は5.9ミリメートル。
ティップ側の端との差を考えると、ティップブランク付け根のブランク厚は0.8ミリ程度。

高弾性カーボンで薄いので、継ぎ目付近のガイド位置を考えないと折損原因になりそうです。
フェルール長さ
逆並継ぎフェルール部分には模様があって分かりやすく、長さは7センチメートルくらい。

ブランクの注意点

ティップ側とバット側のブランクの長さの差が少し大きすぎるように思えます。
フェルールの調整をしてくれているので、その分のしわ寄せで個体差があるのかな。

実測値で3センチメートル違うので、トップガイドでかさ増しされる分(約5ミリメートル)とバットが少し長くなる分を足しても調整した方が良さそう。
ピースごとの長さ差
バットグリップ端がほぼブランクになる作りなのでバットエンド側を15ミリメートルほど切断しましたが、グリップにエンドキャップを付ける方はもう少し切るべきかも。


エギングロッドのグリップの長さ


エギングロッドを自作するにあたり、色んなメーカーのホームページを確認しエギングロッドのスペック表を見たけれど、グリップ長を書いているメーカーは少ない。

店舗で買う人は良いけど、ネットだけで見て買う人には売り文句だけでは正確なことは何も伝わらないと思う。

普通の人は使い比べたりしないから気にならないのかもしれないけど、残念な感じ。

VSSリールシート

初めて富士工業のVSSリールシートを使ってロッドビルディングをしました。

VSSリールシートを選んだ理由は、内径13ミリなのでそのままブランクを付けて丈夫なロッドを作れそうだったから。
VSSリールシート
想定外だったのは溝があり細い部分の内径が内径13ミリだったこと。

グリップも丈夫にしたかったので、穴あけ等は一切なしの硬派仕様。

エギングロッドのグリップの長さ

エギングロッドのグリップ長等を書いている大手メーカーは、ヤマガブランクスと分かりにくいけどシマノくらい。

ヤマガブランクスは、ロッドの長さ硬さによってリールフットからグリップエンドまでの長さを295ミリメートルから315ミリメートルまで使い分けています。

シマノはちょっと分からない。
グリップ長の測定位置も竿尻からリールシート前部固定フードまでと独特な感じだし、グレードに関わらずほぼ同じグリップ長だったり。

店舗でエギングロッドを見比べてみても、あまりバランスとか気にしない会社もあるのかな。
グリップ長を変えて実釣すれば、良い長さが見つかりそうなのに。

しゃくりやすいバランスは、持ち重りしないバランスとも違うのでグリップ位置を決めるのは難しい。
グリップの長さ
8フィート6インチで気に入っているロッドを実測するとリールフット中央からグリップエンドの長さが295ミリメートルだったので、ロッド全長が短い分等を勘案し290ミリメートルで作成してみました。

以前作ったロッドはバランスが取れ過ぎていて軽い力でしゃくれるけど、力が逃げているように感じたので、今回はわざと先重りにしてしゃくりに勢いがつくようにしたつもり。

ロッドビルドの工夫


新しいロッドを作るときは、初めての工程や失敗の改善等をしなければならないので、少しずつ作成し楽しみながら色々と工夫しています。

パーツの接着順番

ロッドビルディングを始めたころは、エポキシ接着剤が勿体無いからパーツやブランクを一気に接着していました。

しかし、大量パーツを一度に接着すると合わせ目のズレが生じたり裏側の補強もしにくいので、今は少しずつ順番を考えて接着しています。
エギングロッドパーツ
接着剤のはみ出しを減らして、より強く接着するような手順を考えるのは難しい。

パーツのつや合わせ等

つや消しパーツを使うとき、良く見ると同じパーツなのに艶が違うことがあります。
カーボンの艶
上の写真のカーボンパイプも実際に見ると光沢が違ったので、コンパウンドで調整して使っています。

また、傷が入っていたりするパーツもあるので、検品して除くか構造で隠すか考える必要もあります。

EVAのくり抜き

EVAの外径はルーター等でEVAを回転させればヤスリで簡単に加工できるけど、内径の変更はEVA自体を回しにくいので難しい。
EVA内径加工
ヤスリやルーターで内径を拡大するとEVAは撓んで変形するので均一な円にならないし、切断面まで真っ直ぐにもなりにくい。

個人的な手法ですが、EVAの内径を拡大するときはやや小さめのパイプを軽く押し当てながら回転させています。

押し当てるパイプの切断面がギザギザだと削り切れるような感じになるし、なめらかでも擦れて切れ目ができてくる。

ちょっとしたことで、難しいと思っていたことが簡単にできるロッドビルドあるある。KNフードに使うくらいなら簡単です。
内径加工
今回のロッドでは3箇所この方法(カーボンパイプ押し当て)で内径外径加工をしています。

エポキシコーティングの強度

ガイドフットとスレッドの隙間やガイドフットの折れ曲がり部分にエポキシコーティング液が流れ込まないと強度が下がると言われているので、最初のエポキシコーティング時にガイドフット付け根にエポキシを流し込みます。

ロッドビルディングメーカーは筆をガイドフットの付け根に当てて流し込むような説明を書いてくれていますが、エポキシコーティング液の粘度が高いとうまく流れにくいしはみ出しやすい。
エポキシ工夫
スレッドコーティング1回目は多めにエポキシをのせて染み込ませるけど、エポキシが多すぎると気泡が入ったり樽状になりすぎたりしやすい気がする。

大きな失敗をしないため、近ごろは筆でのエポキシコーティング前にガイドが上を向きで固定し、爪楊枝で細かいところだけエポキシコーティング剤を流し込んでいます。
エポキシコーティング流し込み
エポキシコーティング剤の撹拌直後にすれば、エポキシも柔らかいのでスレッドに染み込みやすいはず。

スレッドコーティングの形

美しい形のエポキシコーティングをするのは気温などの影響も受けるので、非常に難しい。

よく、2回から3回は重ね塗りしないとキレイなスレッドコーティングはできないと言われているけど、上手い人ならたった2回か3回で美しいコーティングになるのかな?

下手くそな私は3回だと満足するコーティングの形にはならないので、納得する形になるまで同じ場所を5回程度はエポキシコーティングしています。
美しいエポキシコーティング
はみ出さず気泡が入らなければ、何度でも削って形を作り直してコーティングをやり直せば良いと考えているので苦になりません。

しかし、残念ながらせっかく使い慣れて、少しずつ思い通りになってきていたクリスタルシーンも輸入されず入手できなくなりました。

次回からは凄腕ロッドビルダーがオススメしているエポキシコーティング剤に変更します。
道具だけ真似たらうまくいくとは思わないけれど、ちょっと楽しみ。


エギングロッドデザイン


前回のエギングロッドはウッドリールシートを使ったので市販ロッドにない感じだったけど、これはVSSリールシートなのでメーカーロッドのようになってしまいます。

アジングロッドと雰囲気を合わせるため、ワインディングチェックやカーボンパイプは、ほぼ流星フィッシングワークスで販売されているものを使用しました。

リールシートとグリップ

富士工業のEVAのE-VGP R240-24ラバーコーティングされているVSSリールシートに合わせてみた。

純正ラバーコーティングのリールシートはフードまでラバー塗装されていて高級感があるし、今のところ塗装も強そうで良い感じ。
接着のため紙ヤスリで擦った際、塗装が削れても剥がれてくる感じがなかった。

しかし、考えていたよりも富士工業EVAの材質が柔らかいので強く握ると凹む感じがするし、ブランクを圧迫するように接着するとブランクが響かなくなりそう。
エギングロッドデザイン
デザインも考えてカーボンパイプを合わせたものをリールシート前方にカーボンプレートアーバーとともに接着し、EVA部分を補強してみました。

EVAの外径変更について紙やすりは使わず、ヒートガンで熱を加えて少しだけ収縮させています。
微妙な調整は熱を使うとキレイにできる気がします。(失敗すると大惨事、弱めな熱で徐々に)

バットエンドグリップ

当初、カーボンモノコックグリップを使うことも考えたのですが、直径が近いブランクとの接続が嫌だったので、デザイン重視でEVAをブランクに接触させない構造にしてみました。
グリップエンドデザイン
バットエンドはリールシートの余りEVAをくり抜いて接着し、エンドプレート代わりにカーボンワッシャーを使用し貫通エンドに。

ゴムやEVAでブランクに蓋してしまうよりは太鼓のように響くのではないかと期待しています。


エギングロッドのガイドセッティング


ガイド位置は富士工業が公開しているガイドセッティングを参考にして、継ぎ目付近の調整をしたのみ。
エギングロッドガイドセッティング
T-KGST4-1.5、T-KTSG3.5×6、T-KLSG5.5L、T-KLSG6M、T-KLSG8H、T-KLSG16H
トップガイドを除き新Sic-Sで、合計ガイド11個の多ガイド仕様。

キャスト時にノットを巻き込まず太いラインも使わないので、ティップのガイドを小さくしても大丈夫かなと少し攻めたガイドセッティングにチャレンジしてみました。

この組み合わせだとトップガイドとティップガイドの高さも合いますし。
エギングロッドスペック
ロッド重量は97.8グラム、意識していなかったけど100グラムを切ることができました。

リールをつけてみるとロッドが軽くて、取り回しも良さそうに感じます。
あとは硬さがしゃくりに向いているかどうか、こればかりは使ってみないと分からない。

ロッドビルドとは オリジナルロッドを簡単に作る方法
https://ajinglife.blogspot.com/2018/06/blog-post.html
アジング一年生re
ロッドビルディング方法は上のリンクにまとめています。

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