見た目が悪くなりやすい部分が分かっていると、ロッドを購入するときや作るときに選ぶロッドやパーツが変わってきます。
試作四号機の作り方の質問を受け量産型四号機の説明を簡単に書くにあたり、先にロッドグリップ(リールシート)の耐久性について書かないと最初の一本として後悔する可能性があるのではないかと考えました。
ロッドグリップの耐久性
リールを装着するリールシートやグリップは、いつも手を触れる場所でありロッドの顔だと思います。
メーカーやロッドビルダーは握りやすさだけではなくロッドの個性や軽量化のため、グリップデザインを考えています。
しかし、長く使うロッドには使うべきではないと感じるパーツや構成があると思います。
リールシートの塗装
塗装したリールシートはカッコよいロッドを作りやすく、IPSやVSSリールシートは富士工業も塗装済み製品を販売しています。写真のグリップはラバーコーティングのような塗装がされたエギングロッドで、約6年間使用したものです。
角の部分やリールフットの差込口、フードナットの可動域は他のものが塗装に触れてしまうため塗装が少しずつ剥げてきますし、他のロッドではリールシートの握る部分の塗装が剥げているのも見ます。
メーカーによって塗装の品質に違いがあると思うものの、触る部分の塗装は気をつける必要がありそうです。
ワインディングチェック
マタギワインディングチェックのブラックは色が剥げやすい。何かを引っ掛けたと思っていましたが、尊敬するバーボさんのロッドも剥げてしまったようなのでアルマイト処理ではなく塗装で被膜が弱いのかなと感じます。
製造ロットで違いがある可能性も否定できませんが、初号機で使用したブラックのワインディングチェックの塗装(たぶん)が剥げたので、それ以降はアルマイト処理と思われるガンメタ、ゴールド、シルバーを中心に購入しています。
フードナット
富士工業が販売しているリール固定用フードナットも種類が多く最初から塗装されているものがあります。メーカー製ロッドだとブラックのフードナットが付いているものが多いけど、握っているだけで端の方から塗膜が薄くなるようにして色が剥げてしまう。
また、ルアーの針等が当たるだけでも線傷になって色が変わるので目立ちます。
黒っぽい感じならICカラー、銀色ならシルバーかポリッシュといったように無塗装を使用したほうが劣化した感じがしないはず。
量産型四号機
ロッドグリップの耐久性を考えると、試作四号機をそのまま作るのはデメリットが多い。
フロントフードと締め込むナットの大きさもあっていませんし、加工精度も低いリビルド対象ロッドなので、そのままの仕様を人におすすめできません。
今ならこうグリップを作るという構成で、ほぼ同じ形になるパーツを書いていきます。
リールシートのパーツ
メインとなるカーボンパイプは、重たくなるけどマタギ外径15ミリ長さ250ミリのカーボンパイプを使うのが加工しやすいので良いでしょう。軽量化と感度のためカーボンパイプ内径を削り薄くしたこともありますが、薄すぎると剛性を失い反響的な感度が低下する場合もあります。
(過去に0.3ミリ厚以下にカーボンパイプを削り込み超低感度ロッドを作成した経験あり、剛性は大事)
富士工業のリールフードパーツは、内径約15ミリのものが多いので、15ミリのカーボンパイプを使うと隙間を埋めるだけで簡単にリールシート周りが作れます。
余り物で組んだので、カーボンパイプが短いしフードが黒ですみません。
試作四号機でカーボンパイプを何本も継いで作っている理由は、軽量化、アーバーの垂直固定、ワインディングチェックのはみ出しを防ぐため。
カーボンパイプ表面の透明な樹脂をワインディングチェック等で押して圧着気味に固定できるので、ワインディングチェックとカーボンパイプに隙間ができず見た目も良くなります。
しかし、下記の外径の違いからカーボンパイプを継ぐのは加工が難しく、センター出しもかなり慎重にする必要があります。
マタギ15ミリカーボンパイプは外径14.8ミリ位で内径15ミリのワインディングチェックが入りますが、サノファクトリー15ミリカーボンパイプは外径15.3ミリで内径15ミリのワインディングチェックやカーボンパイプを繋ぐには0.5ミリの厚さの外径を0.2ミリほど削り込む必要があります。
外径を削る際も上の写真のように少しでもズレると使えません。
サノファクトリーのカーボンパイプをそのまま使う場合、内径15.5ミリのワインディングチェックだと外径18.5ミリとなりジャストエースカーボンパイプの外径を上回り、耐久性や仕上がりに影響がありそう。
パーツリスト
カーボンパイプ太 ジャストエースMCS-SKDPS16
前フード 富士工業KDPS16
後フード 富士工業SKSS/B16
スクリュー 富士工業SCREW16
ワインディングチェック マタギHTWC-B内径15ミリ
ワインディングチェック マタギD16-FR内径15ミリ
(D17-FRはリールによっては干渉します)
その他、KDPSフード用の装飾パーツ、EVA末端処理用内径15ミリワインディングチェック等
フードナット
試作四号機は、軽量なカーボンロービングフードを使用していましたが加工の難しさと耐久性から初めてのロッドビルディングにはオススメしません。超高性能を目指すにはカーボンロービングフードが抜群に良いけど、初号機.re以降に作成したロッドについて富士工業SDフードをそのまま使用しているのは耐久性の問題からです。
近頃は、いつか人にロッド譲るときに相手が、気を使わず使いやすく綺麗な状態が保てるようにとの考えから耐久性を重視しています。
KDPS16ナット
試作四号機で使用しているナットはカーボンロービングフード前提のものですので、カーボンロービングフードを使用しないならばKDPSでフロントパイプの上にパーツを付けたほうが完成度が高くなりやすい。選択肢が多く、好みがあるのでマタギのカタログや他の方が作ったロッドを見て真似するのも良いと思います。
私のロッドも試作弐号機と試作四号機以外は全てKDPSを使用しています。
このナットが装着されるスクリュー(SCREW16)の内径はカタログでは15ミリと書かれていますが、実際は15.5ミリ位あります。
SKSS/Bフード
四号機の後ろ側のフードナットはSKSS/Bで、カタログ内径15.5ミリ記載の実測16ミリ弱。写真の位置くらい(もっと右側かも)で切断すると、切断した後端側に外径24ミリのワッシャータイプのワインディングチェックが合います。(試作四号機はアクセントとして26ミリ使用)
26ミリだとパーツによっては内径も大きすぎてこのフードでは隠しきれず、24ミリだとピッタリきれいにできるはず。
直接EVAを繋げるのもあり。
加工で必要なこと
カーボンパイプを継がずカーボンロービングフードを使わないならばカーボンパイプ等を切断して、パーツをカーボンパイプに通すだけでグリップ周りが出来てしまいます。内径外径差でできる隙間は、ガイドに巻くスレッドやタコ糸をカーボンパイプに巻き、糸に瞬間接着剤を染み込ませてかさ増しします。
エポキシ接着剤が入り込みやすいように隙間を開けて巻いたほうが良さそう。
太めの糸を巻いた後、紙ヤスリで削るとピッタリになりやすい。
終わりに
ブログを見てくれた方に満足度の高いロッドを作ってもらいたいので工夫して書いてみましたが、分かりにくいところがあればコメント下さい。
この投稿に追記したいと思います。
その他、一般的なロッドビルディング方法は、
最初の一本は綺麗に作ろうと気合が入りすぎて大変だし、メーカーロッドの作りの良さに驚くと思いますが、メーカーロッドも実はそれほど良い作りではないので安心して作ってください。
上の写真は2大釣具メーカーのミドルクラスルアーロッドのグリップ、矢印の部分はスレッドの巻きが汚いのを塗料か何かで誤魔化して上にコーティングしています…1流メーカーのロッドもその程度ですから。
お久しぶりです。
返信削除とても分かりやすいですね(^^)d
ビルドロッドは確かに耐久性が市販品に比べて
悪いのでボロくなればいつもリビルドしてますわ(^。^;)
実は今、ちょーさんさんの3号機、4号機の
グリップを参考にしたロッドを作っています♪
ちょーさんさんの様にかっこ良く&綺麗に
出来てませんが(^。^;)
TATSUさん、いつも爆釣記事を楽しく見せていただいています!
削除質問からの流れだったので他の方が見てどのくらい分かるのか?と心配していましたが、分かりやすいと言っていただきありがとうございます(^^)
四号機タイプの前アーバーパイプ継は、アーバー後ろのメイングリップを熱してまるっと簡単に外して入れ替えられることも、作り変えるにはメリットかも。
TATSUさんのロッド、ボロくなっているように見えないですよ!
どんなに良く作ったつもりのロッドでも見飽きると作り直したくなる気持ちはわかりますw
新しいロッドも楽しみにしています。
早く暖かくならないかな〜コーティングできない!
軽さと剛性とビジュアル。
返信削除この3つのバランスがホントに難しいですよね。
ロッドビルドをするようになって、「軽いだけじゃダメなんだ」って解るようになりました。
外見は同じように見えても、組み立てる度に細部はどんどんバージョンアップしていくのも、作り手にしかわからない苦労(^^;)
秘密にしておきたいですよね( ´艸`)笑
バーボさんの最近のロッドビルド記事は良いものばかりで、かなり勉強させていただいていますm(_ _)m
削除軽さは正義というのも分かりますが、メーカーロッドでも剛性がなくイマイチになっているものもあるようで本当にバランスが大事だなぁと感じています。
ビジュアルや内部完成度に関しては、過去に作ったロッドは後に作ったロッドと比べると出来損ないに感じて、芸術家のように壊してしまいたくなったり(笑)
バーボさんのロッドビルドブログは教科書なので、秘密にしないで下さい(^^)