トルザイトガイドの糸鳴りやデメリット SiC-Sガイドと比較

新素材のトルザイトリングのガイドが発売された頃、トルザイトはPEラインを使うと糸鳴りがするトルザイトガイドはデメリットばかりでSiCガイドの方が良いと言う方が多かったように感じました。
トルザイトガイドとSICガイド
市販されているトルザイトガイドのロッドやロッドビルディングして作成したトルザイトガイドロッドを使っていて、本当にトルザイトガイドはデメリットばかりなのかなと感じるようになったので、個人的なトルザイトガイドの特徴やメリットについて考えてみたいと思います。




トルザイトガイドのメリットとデメリット


トルザイトガイドは富士工業の新開発セラミック製のガイドリングが付いたチタンフレームのガイドです。
ガイドリング単体で比較するとSiC-Jリングより約40パーセント軽く、チタンフレームとの組み合わせでも約10パーセントの軽量化がなされています。
SiCガイドに比べると硬度はないが強度はあるのでガイドリング自体が薄く扁平に作られています。

軽くガイド内径が大きい

ライトゲームロッドのバットガイドに使われるリングサイズ16のトルザイトガイドとSiC-Sガイドを比較したのが下の写真。
薄くなったSiC-Sガイドリングでも内径が違うのが分かります。
トルザイト SiC-S 比較
リングサイズ16で内径を比較すると、トルザイトリングは内径12.3mm、SiC-Sリングは内径11.7mm、SiC-Jリングは内径10.6mmとなっている。
ガイドサイズ8以下の小さいガイドでは、トルザイトリングとSiC-Jリングの差はガイドがワンサイズ分近く変わるので、ガイドサイズを下げることができて更に軽量化にも繋がります。

ラインの滑りが良い

富士工業の実験結果では、ラインとの摩擦抵抗がモノフィララインで40パーセント、PEラインで25パーセント軽減されている結果が出ており、素材表面が滑らかなためラインがちぢれにくいそうです。
硬度はSiCより低いが、ガイドリングの耐摩耗性は同等。
このラインとトルザイトの関係は富士工業と多くの方の感じ方が違うようなので後で掘り下げてみます。

値段が高い

小さいサイズのガイドは100円程度の値段差ですが、バットガイド用のトルザイトガイドはアジング用の12や16サイズでも400円程度SiCガイドより高くなります。
ガイドの大きさや数が増えるほど値段差が大きくなリますが、市販ライトゲームロッドでトルザイトガイド仕様とSiCガイド仕様で1万円以上値段差がある理由は分かりません。

メーカーによってはブランクはほぼ同じで値段が急に高くなりますが、ガイドを定価で買ってもライトゲームロッドなら2,000円から3,000円が適正なチタンフレームトルザイトガイドとステンレスフレームSiCガイドの値段差だと思います。
作業工程も変わらないはずですし。


トルザイトガイドの一般的なインプレ


トルザイトガイドについてはネガティブな意見が多く、SiCガイドと比べてデメリットしかないと言う方もいるようです。
代表的なトルザイトについての意見を。

糸鳴りがひどい

PEラインを使うとギーッと糸なりがして魚が逃げる。
糸なりで釣りに集中できない。

ラインが痛む

エステルラインやフロロカーボンラインが白く濁る。
トルザイトはラインが傷んで切れる。

この2つのデメリットについて、個人的にも糸鳴りはするしエステルラインが白濁しやすいような気はします。
ただし、ガイドセッティングやブランクの性能によっては糸鳴りを感じない市販品のトルザイトロッドもあるので断定できるほどではないと思っています。
ラインの痛みについても、富士工業の実験結果でトルザイトリングはラインがちぢれにくくライン耐久性が4倍となっているのでガイドセッティングやロッドを持つ角度等の条件次第なのでしょう。



SiC-Sガイド


SiCはケイ素と炭素の化合物のシリコンカーバイド製でトルザイトの倍近い放熱性と硬度がある素材です。
トルザイトガイドと違いSiCはステンレスフレームのガイドもあって、価格が安いロッドに使われることも多いようです。
また、SiCガイドはPEラインでも糸鳴りが少ないので、ジギング等ではトルザイトガイドよりメリットが多い可能性があります。

旧型のSiC-Jガイドリングを薄く軽量化したガイドがSiC-Sガイドで、個人的には形状も平坦になりトルザイトガイドリングに似ているように見える。
これからのSiC-Sガイドの使い込みでトルザイトガイドとの差異が分かると良いのですが。

なぜトップガイドはSiC-Jのみか?

最新のアジングロッド等は、1番からバットガイドまでトルザイトガイドを使いトップガイドのみSiCガイドを使用しているロッドも多い。
糸鳴りのクレームを嫌って、ロッドメーカーはトルザイトガイドを使っていないようですが、実はトップガイドは糸絡み防止機能がないLFガイド以外はSiC-Jの分厚いリングしか販売されていません。

LFガイドはPEラインを使うロッドに通常は使いませんから、PEライン用のトップガイドは全て旧型の分厚いSiC-Jガイドしかないことになります。
左がティップ用のSiC-Sガイド、右がトップのSiC-Jガイドでガイドリングの厚みが違うことに気付くと思います。
SiC-Sガイド比較
左側のSiC-Sガイドリングを見ると薄い分だけラインの接地面が平たくなっているように見えるので、形状はトルザイトリングに近いようです。
何故トップガイドだけ薄いSiC-Sリングを販売しないかというと、個人的にはトルザイトリングでPEラインの糸鳴りに過敏に反応した方が多かったため、富士工業が薄いSiC-Sガイドリングで感度を求めるのを止めてしまったのではないかと思うのです。


トルザイトガイドの個人的なインプレ


トルザイトは糸鳴りがするから悪いガイドリングでゴールドサーメットガイドと同じ黒歴史だと言われる方がいます。
確かにPEラインでは糸鳴りが酷いですし、自作した高感度ロッドだとエステル等のモノフィララインでもよれていると手元に振動がくるし音もして不快です。
はっきりと言おう、気に入らないな!

トルザイトガイドの硬度はゴールドサーメットガイドと同じくらいなので、ラインの付着物で削れないかも気になります。
発売されて数年経ってもトルザイトが削れた話は聞いたことがありませんが…

しかし、ロッドビルディングをして高感度ロッドを作っているうちに先に書いた糸鳴りや糸よれの振動を伝える理由は、トルザイトガイドリングが高性能すぎてライン性能が追い付いてないからではないか感度が良すぎるから糸鳴りもすると思うようになりました。
特にエステルライン等を使い少しの感度差で釣果に差が出るアジング等には、トルザイトガイドが有利なのではと考えてみました。

ガイドの違いによる感度差の考察

富士工業のトルザイトガイドの動画を見たことがありますか?引用して下に貼っておきます。
上の動画を見ていると、ハンマーをガイドリングにぶつけるシーンがあります。
トルザイトの方はぶつけたハンマーが強く跳ね返ってくるので反発力があるようでSiC-Jは逆に振動を吸収しているように見え、当たったあとの反動があまりに違うのが衝撃的です。

この動画を見ているとトルザイトガイドの糸鳴りの原因は材質の違いだけではなく厚みと形状の違いで反発力を生んでいるようで、薄いガイドリングはラインの動きを減衰せずブランクに伝えていると考えると、富士工業がトップガイドに薄型SiC-Sを使わない理由の仮定に納得ができます。
薄いSiCは割れやすいのもあるのでしょうけど。

逆に、モノフィラメントラインを使う釣りならトルザイトガイドの方が軽さと反発力でティップにラインの動きをより多く伝えて高感度が期待できるのかなと。
トルザイトガイドはラインとの接地面積が広いことも高感度に繋がる可能性もありますし。


ガイド考察の終わりに


トルザイトガイドについて全否定的なブログ等が多く、またそれを盲信してネットに書いている方が多いのが気になり私見を書いてみました。

素人の考えではありますが、トルザイトガイドは軽くガイド径が大きいなど言われるようなデメリットばかりではなくPEライン以外にはメリットがあるガイドだと思います。
高感度を求めるため良いブランクやティップ素材を使用しても、ラインが直接触れるガイドで感度を減衰させる可能性もあるのかなと思いガイドリングの考察をしてみました。
トルザイトガイドの軽量化なんて1グラム以下ですが、ライトゲームロッドなら0.1グラムでもティップの軽量化は重要なので軽いのもメリットしかありませんしね。

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